福島地方裁判所 昭和55年(わ)52号 判決 1980年6月26日
(一)本店所在地
福島県いわき市内郷御台境町新町前一〇番地の六
商号
合資会社渋谷自動車工業所
代表者氏名
渋谷武
(二)本籍
福島県いわき市平字材木町一五番地
住居
同市内郷御台境町新町前一〇番地の六
職業
会社役員
氏名
渋谷武
生年月日
大正一二年一月二八日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官麻生光洋出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人合資会社渋谷自動車工業所を罰金九〇〇万円に、
被告人渋谷武を懲役八月に、それぞれ処する。
被告人渋谷武に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人合資会社渋谷自動車工業所(以下被告会社という)は、福島県いわき市内郷御台境町新町前一〇番地の六に本店を置き、自動車修理業及び自動車部品販売業を営む出資金六〇〇万円の合資会社であり、被告人渋谷武は、被告会社の無限責任社員として、同会社を代表しその業務全般を統括しているものであるが、被告人渋谷武は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一、昭和五一年二月一日から昭和五二年一月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が二七、五九〇、二四九円で、これに対する法人税額が一〇、〇八四、〇〇〇円であったにもかかわらず、売上を除外し架空仕入及び架空経費を計上して、これによって得た資金を他人名義の郵便定額貯金にするなどの行為により、右所得金額中二四、九三一、七九〇円を秘匿したうえ、昭和五二年三月三一日、福島県いわき市平字菱川町六番三号所在の所轄いわき税務署において、同税務署長に対し、当該事業年度の所得金額が二、六五八、四五九円で、これに対する法人税額が六六八、一〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、同会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額九、四一五、九〇〇円を納期限まで納付せず、もつて不正の行為により同額の税を免れ、
第二、昭和五二年二月一日から昭和五三年一月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が三一、一五〇、二四九円で、これに対する法人税額が一一、五〇四、三〇〇円であつたにもかかわらず、前同様の行為により右所得金額中二七、〇八九、六六七円を秘匿したうえ、昭和五三年三月三一日、右同所所轄いわき税務署において、同税務署長に対し、当該事業年度の所得金額が四、〇六〇、五八二円で、これに対する法人税額が一、〇五八、四〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、同会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額一〇、四四五、九〇〇円を納期限までに納付せず、もつて不正の行為により、同額の税を免れ、
第三、昭和五三年二月一日から昭和五四年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四〇、〇六四、五三三円で、これに対する法人税額が一四、九〇四、二〇〇円であつたにもかかわらず、前同様の行為により右所得金額中三四、一五三、七七五円を秘匿したうえ、昭和五四年三月三一日、右同所所轄いわき税務署において、同税務署長に対し、当該事業年度の所得金額が五、九一〇、七五八円で、これに対する法人税額が一、四七二、四〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、同会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額一三、四三一、八〇〇円を納期限までに納付せず、もつて不正の行為により同額の税を免れ
たものである。
(証拠の標目)
記録中の証拠等関係カード(検察官請求分)における左記番号欄の標目記載と同一であるから、これを引用する。
判示全事実について
4、14乃至24、28乃至47、51乃至53、57乃至87
判示第一の事実について
1、5、8、11、25、48、54
判示第二の事実について
2、6、9、12、25、26、49、55
判示第三の事実について
3、7、10、13、27、50、56
(法令の適用)
判示各所為は、被告会社の関係ではいずれも法人税法一六四条一項、一五九条、七四条一項二号に、被告人渋谷武の関係ではいずれも同法一五九条、七四条一項二号に該当するところ、被告会社の以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算した金額の範囲内で被告会社を罰金九〇〇万円に処し、被告人渋谷武については、判示各罪につきいずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役八月に処し、同被告人に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予することとする。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 青野平)